日本世論調査協会からのメッセージ
住民基本台帳の閲覧制度等のありかたについて
2005.6
(財)日本世論調査協会
会長 柳井 道夫
 日本世論調査協会は昭和25年に創立され、日本における世論調査の黎明期から指導的な役割を果たして来ましたが、現在も新聞社・放送局・通信社など世論調査を実施する報道機関、大学や研究所ならびにその他各種の世論調査を実施する機関、および世論調査に関心を持ち自らも世論調査を企画立案し実施する研究者で構成され、互いに連絡提携を図り、世論調査の科学的・理論的研究・研さんを重ね、世論調査の進歩向上を目指してきました。さらに国際的連絡提携を図り、国際的調査研究にも参画してきました。

 現在日本の世論調査は、世界的にも高く評価されておりますが、その大きな要因の一つは、無作為標本抽出法の基本理念に従い、確率論的に正確な調査対象者名簿を作成し、これに従って調査を実施することができるからです。これを可能にしているのがきわめて正確に作成されている日本の住民基本台帳であり、これに基づいて統計学的・確率論的批判に十分耐え得るサンプリングが可能だからであります。

 これまで当協会では、加盟する各機関・研究者に対して、日本世論調査協会の倫理要綱に基づく厳正かつ科学的な調査を実施するよう求めてきました。住民基本台帳を作成管理する自治体において調査対象者を抽出するに当たっても、各自治体にご迷惑をかけないことを旨としてご理解を求め、抽出された調査対象者に対しても同様に了解を求め、ご理解をいただき、協力をお願いする努力をしてまいりました。

 そのため、調査対象者抽出員および面接調査員に対するインストラクションを初め、世論調査実施の全行程と結果の扱いについて、できる限りの配慮をしております。調査結果は全て統計的に処理され、調査対象者にかかわる個人情報は外部に出ることはなく、目的外使用は厳しく排除されてきました。世論調査における個人情報の保護は、世論調査を実施する全ての者にとって、法の有無にかかわらず守らなければならない必須の倫理であります。この点に関しては、今後一層の努力をしてまいりますし、一般社会に対しても、統計的に処理される科学的世論調査の重要性を訴え、理解を求めるアピールをしてきました。

 当協会がこうした活動を続けてきましたのも、民主主義社会において世論の動向を統計的に正確に把握し、国民が世論についての認識を共有し、これが国の政策に反映されることが必須であると考えるからであります。

 わが国において、今後とも科学的世論調査が継続的に可能であり続け、世論の動向を正確に把握することができるよう、そのための基本的要件である住民基本台帳の閲覧が可能であるよう、特段のご理解とご配慮がなされますよう、ここに強く要望するものであります。

 なお、科学的・統計的な世論調査実施のために住民基本台帳の閲覧を希望する者に対して、その基準として、全国的にある程度統一的なガイドラインが設定されるよう、あわせて要望するものであります。
 ※ この文書は総務省の審議会資料として7月4日に提出しております。

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